『霊眼』 中村啓

よつばシステム株式会社 (2011年7月15日 17:06)

 鬱々とした気持ちが人間に与える影響、それは時として人を違った世界に引きずり込んでしまう。
世界、いい世界じゃない。人が今まで見ようとしなかったセカイ。

この本の登場人物は決してスーパーマンでも人格者でもない、いや逆に精神的にどん底にいた。
そこから這い上がる訳でもなく、身の回りに次々起こる不思議な現象に取り込まれていく。

ところどころに配された、不穏なイメージを喚起する描写が絶妙。
小さな不安を呼び起こす出来事がいくつも重なって、徐々に物語の緊張を高めていく。
不安の積み重ねていくことで、読者を引き付け、その心を緊張の糸で縛りあげる。
不安がピークに達したら、今度は鮮烈な展開が待っている。

喜怒哀楽といった感情の揺さぶりというよりも、とにかくダークな展開が続くが、それでもきちんと最後まで読めてしまうのがすばらしい。
オカルト要素が満載ながらも、その内容に現実味を持たせているのも、この生々しさを伴った描写のなせる業である。
理屈じゃなく、言葉でもなく、その雰囲気を是非味わってほしい作品だ。

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システム事業部 開発第一グループ Y.H
 

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